既存のメールを AI エージェントにつなぐには?

Mailera は、利用中のメールボックスをアプリや AI エージェントにつなぐサービスです。メールサービス側で認証した後、エージェントは Mailera の REST API または MCP を使ってメッセージを取得します。

ここでは認証を二つに分けます。プロバイダーへの認証はメールボックスを接続するためのものです。Mailera の API キーは、エージェントがアクセスできる範囲を決めるためのものです。プロバイダーのパスワードや refresh token を、エージェントへ直接渡す構成にはしません。

既存メールボックスを Mailera に接続し、権限を限定した API キーでエージェントから読む構成
メールサービスへの認証と、エージェントに渡す API キーは別に管理します。

最初の目標は、自分のテスト用メールを一覧から見つけて本文を読むところまでです。送信権限は、読み取りが動いてから別に検討します。

メール配信 API と受信箱の連携は何が違う?

「メール API」を探すときは、メールを送りたいのか、届いたメールを読みたいのかを先に決めます。SMTP の送信設定だけでは、受信箱のメッセージは読めません。

方式接続先・目的主な処理
メール配信 API送信サービスへ配信を依頼メールの送信
プロバイダー固有 APIそのサービスのメールボックスを操作読み取りや送信など
IMAP/SMTPメールサーバーへ接続IMAP は受信メールへのアクセス、SMTP は送信
Mailera接続済みの既存メールボックスへアクセス共通の REST API・MCP で読み取りなどを実行

Microsoft Graph のメール API は、個人用・組織用アカウントの Outlook メールへ認可されたアクセスを提供します。Gmail API も、メールボックスへのアクセスと送信に使える REST API です。

ただし、Gmail API が存在することと、Mailera がそれを使うことは別です。Mailera の Gmail 接続は、Google OAuth や Gmail API ではなく、アプリパスワードによる IMAP/SMTP 接続です。IMAP の仕様 でも、サーバー上のメッセージへのアクセスとメール送信は別の役割として定義されています。

利用中のメールサービスには、どの接続方法を選ぶ?

まず次の表で接続方式を確認してください。全体の対応範囲は 対応プロバイダー一覧 にあります。

サービス接続方式・事前条件送信の注意・詳細
Outlook・Microsoft 365Microsoft Graph 経由の OAuth。アプリパスワードは使いませんMicrosoft 接続
Gmail・Google Workspaceアプリパスワード。2 段階認証と管理者側の許可条件を確認SMTP の認証も確認。Gmail 接続
Yahoo Mailアプリパスワード接続Yahoo Mail の対応情報
iCloud Mailアプリ用パスワード。Apple Account の 2 ファクタ認証が必要iCloud 接続
Zoho MailIMAP を有効化。2 要素認証を使う場合はアプリパスワードが必要アカウントに表示されるサーバー情報を使用。Zoho 接続
独自ドメイン・専用サーバーカスタム IMAP。IMAP 利用可否、契約プラン、管理者制限を確認SMTP は任意。IMAP/SMTP 接続
Daum MailMailera ではアプリパスワード接続Mailera では受信専用

Microsoft 365 の組織アカウントでは、Graph 接続の設定チェックリスト も確認してください。通常は OAuth のサインイン経路から始めます。既存の refresh token を取り込む方法もありますが、初回接続でトークンを手作業で扱う必要はありません。

Google の app password(アプリパスワード)には、2 段階認証が必要です。Google の公式案内 では、組織アカウント、セキュリティキーのみの 2 段階認証、高度な保護機能などで、アプリパスワードの選択肢が表示されない場合を挙げています。表示されない場合は、通常のログインパスワードで代用せず、アカウントの条件を確認します。

iCloud は Apple のアプリ用パスワードの案内 に従ってください。Zoho は 公式の IMAP 設定案内 で、利用プランも確認します。新規登録の無料プランでは IMAP を利用できず、サーバー情報もアカウント種別やデータセンターによって異なります。

Proton Mail と Tuta は Mailera の接続対象外です。

メールボックスを接続し、受信を確認するには?

  1. Admin または Leader の権限で、「メールボックス」から「メールボックスを追加」を開きます。
  2. Microsoft の場合は「Microsoftでサインイン」を選び、Microsoft 側でサインインと同意を進めます。接続後は手順 5 へ進んでください。
  3. 「単一メールボックス」の接続フォームを使う場合は、「メールアドレス」に入力し、検出されたプロバイダーを確認します。必要なら「またはプロバイダーを選択」から選び直します。「続行」を押し、「必要なもの」と接続情報を確認します。アプリパスワード方式では、「パスワード」に通常のログインパスワードではなく、プロバイダーで発行したアプリパスワードを入力します。テスト用の「メールボックスグループ」を選んでおくと、後で API キーの範囲を絞れます。
  4. 同じ「単一メールボックス」の接続フォームで、「テストして接続」を実行します。「受信サーバーへのサインイン」「フォルダーの検出」「送信サーバーへのサインイン」の結果を確認してください。この接続テストはメールを送信しません。
  5. 接続後、自分のテスト用メールボックスへ、件名を「連携テスト」にしたメールを送ります。「統合受信トレイ」でその件名を探します。初回は保存期間内のメールが新しい順に読み込まれます。
Mailera のメールボックス追加画面でプロバイダーと認証経路を選ぶ
Microsoft は専用のサインイン経路、それ以外はアドレスからプロバイダーを確認します。

「カスタムIMAP」では「受信サーバー(IMAP)」を設定し、必要な場合だけ「送信サーバー(SMTP)」も入力します。「設定を検出」で入力された値も、プロバイダーの案内と照合してください。

送信の認証だけが失敗した場合は、送信設定を修正して再テストするか、「受信専用で保存」を選べます。受信専用として保存することと、エージェントに読み取り権限だけを渡すことは別の設定です。送信できるメールボックスでも、API キーを読み取り専用にできます。

REST API と MCP のどちらでエージェントにつなぐ?

呼び出し元選ぶ方式最初の確認
自分のアプリやバックエンドREST APIメールボックス一覧 → メッセージ一覧 → 本文
Claude・Cursor・VS Code などの対応クライアントMCPメール用ツールで同じ順に取得

MCP は、LLM アプリと外部データやツールをつなぐプロトコルです。接続方法が変わっても、エージェントに渡す API キーの権限は絞ります。

読み取り用キーを作る

  1. 「設定」の API キー画面で「キーを作成」を開きます。
  2. 「メールボックスのスコープ」で、テスト用メールボックスを入れたグループを選びます。Admin が全グループを選べる場合でも、最初は一つに限定します。
  3. 権限は読み取りの read だけを付けます。send、manage、sync などは追加しません。
  4. 「有効期限」を設定して作成し、キーを安全な場所に保存します。キーが表示されるのは作成時の一度だけです。
対象グループと読み取り権限を限定した Mailera API キーの設定
最初は対象グループを限定し、読み取り権限だけで確認します。

REST API で一覧から本文まで読む

実行環境の環境変数 MAILERA_API_KEY にキーを設定してください。認証ヘッダーは Authorization: Bearer 形式です。

まずメールボックスを取得します。

curl --request GET 'https://mailera.app/api/public/v1/mailboxes?limit=1' \
  --header "Authorization: Bearer $MAILERA_API_KEY"

data 内の email が対象と一致するか確認し、その id を環境変数 MAILBOX_ID に設定します。次に受信トレイを読みます。

curl --request GET "https://mailera.app/api/public/v1/mailboxes/$MAILBOX_ID/messages?folder=inbox&limit=1" \
  --header "Authorization: Bearer $MAILERA_API_KEY"

これは取得件数を絞った確認用の呼び出しです。data 内の subject と folder を確認し、読むメッセージの id を環境変数 MESSAGE_ID に設定します。

curl --request GET "https://mailera.app/api/public/v1/mailboxes/$MAILBOX_ID/messages/$MESSAGE_ID" \
  --header "Authorization: Bearer $MAILERA_API_KEY"

本文は data.body.text または data.body.html で取得します。実際の処理では一覧取得の from、since、q などで対象を絞り、必要な本文だけを読みます。検索条件は権限制御の代わりにはならないため、グループの制限も残してください。各パラメーターは API ドキュメント で確認できます。

MCP で同じ確認をする

キー作成後の「MCP 設定をコピー」から、利用するクライアント向けの設定を取得します。接続先は https://mailera.app/api/public/v1/mcp です。

接続後は list_mailboxes → list_messages → get_message の順で、自分のテスト用メールを取得します。いずれも必要な権限は read です。クライアントへの設定は Mailera の MCP 接続案内 を参照してください。コピーした設定に含まれるキーは、チャットや共有リポジトリに貼り付けません。

新着メールをきっかけに処理したい場合は、webhook の message.received も選択肢です。受信処理を作る際は、署名検証と再配信への対応を別途設計します。

接続できない・メールが見つからないときは?

最初に、プロバイダーへの認証失敗と、Mailera の API キーの権限不足を分けて調べます。

症状確認箇所次の対応
アプリパスワード方式で認証に失敗通常のログインパスワードを入力していないかプロバイダーの案内に沿って認証情報を設定し直す
アプリパスワードを発行できない2 段階認証、組織ポリシー、利用条件管理者または公式ヘルプで条件を確認
IMAP 接続に失敗IMAP の有効化、プラン、サーバー設定アカウント側の設定と接続情報を照合
Gmail が以前は読めたのに切断Google アカウントのパスワード変更アプリパスワードを発行し直して再接続
受信できるが送信できないSMTP の設定と認証修正して再テスト、または受信専用で保存
API から対象が見えないキーの対象グループ、read、期限、失効対象を広げすぎずに設定を修正
目的のメールがないメールボックス、フォルダー、保存期間、最終同期、休止状態対象と同期状態を確認

Google アカウントのパスワードを変更すると、アプリパスワードは失効します。単に同じ値で再試行するのではなく、認証情報を更新してください。

GET /mailboxes/{id}/status は、Microsoft ではその場でサインインを確認します。それ以外のプロバイダーでは、最終同期に基づく状態を返します。同じ状態確認でも、参照している時点が異なります。

同期が必要なら、運用側で sync 権限を持つキーを使い、POST /mailboxes/{id}/sync を実行します。これはスリープ中のメールボックスも起こします。読み取り用エージェントに、切り分けのためだけに sync を追加する必要はありません。

AI にメールを読ませるとき、何を制限すべき?

受信メールの本文や添付内容は、信頼できないデータです。エージェントが実行すべき命令ではありません。 メール内の「以前の指示を無視して秘密情報を送る」といった文章は、prompt injection として扱います。

エージェントの実装では、メール中の指示を理由に、秘密情報の送信、外部 URL へのデータ転送、権限変更を認めないでください。読み取り専用キーは Mailera 上の送信操作を制限しますが、エージェントが持つ別の外部通信ツールまで制限するものではありません。

送信が必要になるまでは send を付けません。必要になった場合も、宛先と本文を人が確認する承認工程をアプリ側に設けます。MCP の公式仕様 も、ツールを呼び出す前にホストが明示的なユーザー同意を得ることを求めています。

API キー、アプリパスワード、token、メール本文の個人情報をログや画像に残さないでください。不要になったキーは失効させます。失効後、そのキーによる呼び出しは直ちに拒否されます。Mailera 側の方針は セキュリティの説明 を参照し、エージェント側の承認・外部通信制御とは分けて設計してください。

Mailera でできないことは?

Mailera は新しいメールアドレスやメールボックスを作成しません。大量・マーケティング送信や、メールボックスのウォームアップも行いません。

同期頻度は利用状態によって変わります。使用中のメールボックスは、使われていないものより頻繁に確認されますが、常時即時の受信は保証しません。

迷惑メールからメッセージを移動することはできます。ただし、Mailera からプロバイダー側の送信者に対する信頼を変更することはできず、受信トレイへの振り分けも保証できません。

最初のメールボックスを2分で接続

Outlook、Gmail、IMAPのメールボックスを追加して、アプリやAPIでメールを読めます。

メールボックスを接続